二宮金次郎

KINJIRO NINOMIYA
1787〜1856

二宮尊徳(にのみやたかのり)は、江戸時代後期の経世家、農政家、思想家である。通称は金治郎(きんじろう)であるが、一般には「金次郎」と表記されることが多い。また、諱の「尊徳」は正確には「たかのり」と訓むが、有職読みで、「そんとく」と訓まれることが多い。
経世済民を目指して報徳思想を唱え、報徳仕法と呼ばれる農村復興政策を指導した。

二宮金次郎が発案した「五常講」とは、集団による連帯保証を伴った金融制度のことで、儒学が定めた五つの徳、仁・義・礼・智・信を守ることを条件とする道徳心を担保とした金融制度のことである。二宮金次郎が実践した小田原藩五常講を例に説明すると、次のような仕組みである。

「下級武士への貸出基金は三百両である。そこで百両を一組にして、三つの組みを作った。そして一組の加入人員を百とした。すなわち百両を百人が運用する、それが三組あるという方式である。
 そしてこの百名が連名記帳して連帯責任をとる。借り入れが出来るのは一人一両で、利息は無利息、貸出期間は最長、百日間である。もし一組の中で、一両借りた人が百日たっても返済できない時は、帳簿に記名した当事者の名前から下へ記名した十人の者が連帯して弁済する。この連帯責任による返済が完了するまで、次の貸付を停止する。返済が官僚すれば、また貸付が再開される。したがって借りた人間は、返済を滞らせると他人に迷惑がかかるので、絶対返済を遅らすことができない」  三戸岡道夫著「二宮金次郎の一生」(栄光出版社)P.93

このことを五常の教えをもって説明すると、次のようになる。
「多少余裕のある人から、余裕のない人にお金を差し出すことが必要です。いわば推譲といっていいでしょう。これが仁です。そして、借りたほうが約束を守って正しく返済することを義といいます。これが仁です。そして、借りたほうが約束を守って正しく返済することを義といいます。また約束を守った後、必要な資金を推譲してもらったことを感謝して、その恩義に報いるために冥加金を差し出したり、また、返済について貸付金に当てるときも、決して威張ったりしないこと、これを礼といいます。また、どのようにして余財を生じ、借りた金を早く返すか、つまり約束を迅速確実に守るかである仁義礼智信の五つが必ずともなっているのです」 童門冬二著「二宮金次郎」(集英社文庫)P.135